2006/11/19//Sun. 18:32
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今日はとてもティム・ハーディン日和だ。雨が降っていてあまり元気がない。かといってどん底な気分でもない。で、なぜかふとティム・ハーディンの声が聴きたくなってこのヴァーヴ時代のコンピレーション盤を取り出した。
最高だ。ハーディンの声がしっとりと優しくかつブルージーに体に染み込んでくるようで今の気分にぴったりくる。今までわからなかったんだろう。一番最初に聴いたのはCBS時代の「電線の鳥」。あのアルバムは良くも悪くも全体的に感情を剥き出しにした感があったし、メロディの作り方やアレンジの仕方、そして歌い方がとても凝っていた。だから聴いた瞬間にノック・アウトされたのだろう。
このヴァーヴ時代の音源はもう少し抑制されていて、曲自体の作り方が素朴で歌声も淡々としている。良さがわかるのに時間がかかるのも当然といえば当然だろう。
だが、一度この良さを体感してしまうと離れたくなくなってしまう。音楽って不思議なもんですなぁ。
このHang on to a Dream: The Verve Recordingsは全2枚組。1枚目は"Tim Hardin 1" 及び "Tim Hardin 2" を収録。基本的にはフォーク路線なのだが、どことなくブルースの香りがするのはなぜだろう。この人の体質なのかもしれない。2枚目はCBSに移籍する際にハーディンの意思に反してレコード会社が勝手に発売した"Tim Hardin 4" と未発表曲が中心。1枚目とは雰囲気が異なりブルース臭が濃厚である。完成度は1枚目の方が高い。2枚目はデビュー前の音源でいわばアウトテイク集であるので当然といえば当然か。ただそれは比較の話であって悪いというわけではない。ハーディンのルーツが垣間見えるようでとても興味深く聴ける。
そんな中、"Tim Hardin 2" と "Tim Hardin 3" が再発された模様だ。"Tim Hardin 2" は全曲"Hang on to a Dream"に収録されているからまだしも、"Tim Hardin 3" はCDはもちろんレコードでも中古盤を見つけるのは難しい。どうせ直ぐに廃盤になってしまうだろうから、今すぐ買っておいた方がいいのでは? 管理人も早速買いました(笑)。
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※ 非公式のファン・サイトのようですが、ティム・ハーディンに関する情報はこちらが便利です。
特にディスコグラフィーがとても充実しており、参考になります。
This page is dedicated to the music of Tim Hardin
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2006/04/08//Sat. 02:42
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孤独な金曜の晩にかなうものはない
金曜の晩だってのに
することもなく時間をつぶしてる
いっそタクシーを拾って
ダウンタウンへいくとするか
そして僕 ダンスホールの人ごみの中で
何時間もぶらぶらと過ごす
なんだか田舎者みたいだ
でも ふと振り向いて
入り口のほうに目をやったとき―
流れるような長いローブをまとって
あの娘がボールルームの入り口に現れた
僕はどうしても確かめたくなった
彼女は僕が望むとおりのことを求めてるのかも
(「ロング・フローイング・ローブ」 対訳:内田久美子)
なぜかこのアルバムが気になってかけてみた。随分長いこと聴いていなかった。そういえば、今日は金曜日。ぴったりなタイミングだな。1曲目の「ロング・フローイング・ローブ」を聴いているとウキウキしてきてしまう。
適度に刺激のあるロック・チューンと静謐で心優しいバラードが巧みに織り交ぜられており、非常に完成度が高い。特にバラードの良さは筆舌につくしがたい。聴く前はジャケットを見てかなり暗いアルバムなのだろうと思ったがそんなことはない。かなり落ち着ける。短編小説のような「ザ・バラッド」と「優しくして」というタイトルと歌詞に反してこちらが優しくされてしまうシングル曲「ビー・ナイス・トゥー・ミー」が特にお薦め。今夜は何も考えず、この盤を聴いてゆったりと過ごすことにしよう。

2006/02/24//Fri. 03:19
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3,4年前のことだろうか。待ち合わせまで時間があったので暇つぶしに古本屋に入った。探している本もあったし、どうやら新しくできた古本屋のようだったので立ち寄ってみようかと思ったのだ。
店内をさまよっているうちに妙な音楽が流れ出した。とても退廃的で、自堕落かつ幻想的。それでもどこかに希望を捨てきれないでいるような声。歌は決して上手ではない。どちらかといえば歌というより中年を過ぎたオッサンの呟いているような歌い方。いつかどこかで聴いたことのあるようなメロディ・ライン。物悲しげなコーラス。
次の曲もその次の曲も同じ人の歌であるようだった。探している本は見つからず、仕方無しに適当に文庫本を引っ掴んでカウンターにもっていき、釣りをもらうときに店員にアルバム名を尋ねた。「これ、廃盤なんですよね」といって見せてくれたのがこの「哀しみのダンス」("Various Positions")のジャケット。レナード・コーエンと分かって「ああ、この人が『電線の鳥』を書いた人なのか」と思った。「電線の鳥」はジョー・コッカーのバージョンが好きでよく聴いていた。
数日後にちょうど日本盤の中古があったので買って聴いてみた(輸入盤は廃盤にはなっていなかったが、歌詞が知りたかったので日本盤を探していた)。ヘビー級ボクサーのボディー・ブローのように重たく、体に響いてくる。軽い気持ちで聴いてしまうと精神的なダメージが大きいかもしれない。だからいつも聴きたくなるような音楽ではない。明るい気分にはなれないからだ。
だが思い切り沈み込みたい夜もある。
特に今夜のように。さしたる理由はないけれど。
だが、出てこないんだな、このCDが(笑)。
だから今仕方無しにライヴ盤を聴きながら記憶だけで書いている。「哀しみのダンス」の歌詞の内容は全て神について或いは神に捧げた内容であったと思う。要するにゴスペルだな(俺は歌詞に神が出てくるか神に捧げた詞の内容であれば、音楽的な形式に拘らずゴスペルだと解釈している)。
古本屋で最初に聴いた曲は日本盤のタイトル曲 「哀しみのダンス」"Dance To The End Of Love" だった。一度聴いたら忘れられないメロディ・ライン。「いつかどこかで聴いたことがある」と感じたのは印象的なメロディだからだろう。 "Coming Back to You" はどん底から神へ助けを求めているような曲でこれも胸に響く。"Hallelujah" も印象的。こんなに歌の下手なオッサンがどうしてこんなにいい曲を書けるんだろう。
ああ、聴きたい。どこまでも深く沈み込みたい……。
1. Dance Me to the End of Love
2. Coming Back to You
3. Law
4. Night Comes On
5. Hallelujah
6. Captain
7. Hunter's Lullaby
8. Heart With No Companion
9. If It Be Your Will

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