2006/02/24//Fri. 03:19
3,4年前のことだろうか。待ち合わせまで時間があったので暇つぶしに古本屋に入った。探している本もあったし、どうやら新しくできた古本屋のようだったので立ち寄ってみようかと思ったのだ。 店内をさまよっているうちに妙な音楽が流れ出した。とても退廃的で、自堕落かつ幻想的。それでもどこかに希望を捨てきれないでいるような声。歌は決して上手ではない。どちらかといえば歌というより中年を過ぎたオッサンの呟いているような歌い方。いつかどこかで聴いたことのあるようなメロディ・ライン。物悲しげなコーラス。 次の曲もその次の曲も同じ人の歌であるようだった。探している本は見つからず、仕方無しに適当に文庫本を引っ掴んでカウンターにもっていき、釣りをもらうときに店員にアルバム名を尋ねた。「これ、廃盤なんですよね」といって見せてくれたのがこの「哀しみのダンス」("Various Positions")のジャケット。レナード・コーエンと分かって「ああ、この人が『電線の鳥』を書いた人なのか」と思った。「電線の鳥」はジョー・コッカーのバージョン が好きでよく聴いていた。 数日後にちょうど日本盤の中古があったので買って聴いてみた(輸入盤は廃盤にはなっていなかったが、歌詞が知りたかったので日本盤を探していた)。ヘビー級ボクサーのボディー・ブローのように重たく、体に響いてくる。軽い気持ちで聴いてしまうと精神的なダメージが大きいかもしれない。だからいつも聴きたくなるような音楽ではない。明るい気分にはなれないからだ。 だが思い切り沈み込みたい夜もある。 特に今夜のように。さしたる理由はないけれど。 だが、出てこないんだな、このCDが(笑)。 だから今仕方無しにライヴ盤 を聴きながら記憶だけで書いている。「哀しみのダンス」の歌詞の内容は全て神について或いは神に捧げた内容であったと思う。要するにゴスペルだな(俺は歌詞に神が出てくるか神に捧げた詞の内容であれば、音楽的な形式に拘らずゴスペルだと解釈している)。 古本屋で最初に聴いた曲は日本盤のタイトル曲 「哀しみのダンス」"Dance To The End Of Love" だった。一度聴いたら忘れられないメロディ・ライン。「いつかどこかで聴いたことがある」と感じたのは印象的なメロディだからだろう。 "Coming Back to You" はどん底から神へ助けを求めているような曲でこれも胸に響く。"Hallelujah" も印象的。こんなに歌の下手なオッサンがどうしてこんなにいい曲を書けるんだろう。 ああ、聴きたい。どこまでも深く沈み込みたい……。 1. Dance Me to the End of Love 2. Coming Back to You 3. Law 4. Night Comes On 5. Hallelujah 6. Captain 7. Hunter's Lullaby 8. Heart With No Companion 9. If It Be Your Will
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深く沈めそうな感じやね。
ヘビー級のボディブローは(笑
Monk
URL 2006/02/24//Fri. 22:13
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こんにちわ。
歌が下手と言うか「ダメ声」なんですよね(笑)。
私は基本的に「ダメ声」が大好きです。
で、「ダメ声」の素晴らしい人たちが沢山居ると思っています。Blogに書かれた2人もそうですしTom WaitsもPaul WilliamsもBob GeldofもLeon Russellも、、、本当に素敵なダメ声の人が沢山居ると思います。
falso URL 2006/02/24//Fri. 23:41
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Monkさんへ
>深く沈めそうな感じやね。
沈むよ~。でも、格好よく沈めるかも(笑)
>ヘビー級のボディブローは(笑
ちょっと変な表現だったかなぁ。でもそれくらい重たいんだよね。
rollins1581
URL 2006/02/25//Sat. 01:38
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Monkさんへ
>深く沈めそうな感じやね。
沈むよ~。でも、格好よく沈めるかも(笑)
>ヘビー級のボディブローは(笑
ちょっと変な表現だったかなぁ。でもそれくらい重たいんだよね。
falsoさんへ
ひょっとしてドクター・ジョンも「ダメ声」の範疇でしょうかね?
だとしたら「ダメ声」、私も好きだと思います。今気付きました(笑)。
トム・ウェイツとレオン・ラッセル、好きです。
他の二人は聴いた事がないので今度試してみます。
きっと気に入るんだろうなぁ(笑)。
rollins1581
URL 2006/02/25//Sat. 01:39
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奇遇ですね、このアルバムではないですが、俺のところでもレナード・コーエンのアルバムが行方不明です。(笑)
ダメ声ですとどちらかといえば、高音のダメ声が好きです。
ニール・ヤングとか。
でも、今、コーエンとトム・ウェイツは非常に気になっています。
piouhgd
URL 2006/02/25//Sat. 11:18
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こんにちわ。
Dr. Johnも素晴らしき「ダメ声」の持ち主だと思います。
こう考えると所謂『美声』だけが、人の心に響く訳じゃないと実感できますね。
piouhgdさんと同様わたしもNeil Youngが好きなのですが、彼は時々「ダメ声」を越えて「へた」になるところが好きです(笑)。特にLiveでの不安定なところなんて最高です(爆)。
falso URL 2006/02/25//Sat. 22:38
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piouhgdさんへ
おお!奇遇ですねぇ。どうやらコーエンは雲隠れするのが好きなようですね(笑)
ニール・ヤングは「ラスト・ワルツ」で聴いたくらいですが、いずれ何か聴いてみたいと思っています。
falsoさんへ
ドクター・ジョンもやはりダメ声!あの声ってどうしても憎めないんですよねぇ。
>こう考えると所謂『美声』だけが、人の心に響く訳じゃないと実感できますね。
↑
この部分、激しく同意します(笑)
ニール・ヤングはライブでは不安定? 面白そうです。ライブを聴いてみようかな。
rollins1581
URL 2006/02/26//Sun. 03:11
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