2006/03/20//Mon. 00:34
与世山澄子という人はpiouhgdさんのレビュー(こことここ)で初めて知り、アマゾンのレビュー(こことここ)やタワー・レコードの紹介記事も参照したところ、非常に存在感のあるボーカルとのことで興味が湧いた。詳細は各リンク先を参照していただきたいが、これらを読んでまず思い浮かべたのがニーナ・シモンとジミー・スコット。また日本人であるということから、越路吹雪のイメージも頭をよぎった。
レンタル屋に赴いたところ幸いにも4枚とも在庫があったので早速全部借りてきて聴いてみた。ただし主に聴いたのはデビュー盤の「イントロデューシング」と最新盤の「インタリュード」なのでご了承のほどを。
まず最初に聴いたのが05年録音の「インタリュード」。聴いた瞬間、「アレ?」と思った。想像していたイメージとは違っていたのだ。ニーナ・シモン、ジミー・スコットとは全く違う。両者は「ダメ声」だが、この人はとても歌がうまい。声も綺麗だ。越路吹雪にある妖艶な魔力ともまた違う。そのせいか、肩すかしを食らったようで引き込まれなかった。
2曲目が終わらないうちにCDを変えた。デビュー盤の「イントロデューシング」(83年3月録音)。これは凄い。メンバー全員が「一音たりともおろそかにしてたまるものか」という緊張感がビシビシと伝わってくる。この盤での与世山さんの歌は周囲の人間を黙らせる力がある。カクテルを傾けながらおしゃれなジャズを…という雰囲気ではない。鬼気迫るものがあるのだ。これは暗めのメロディで哀愁感たっぷりの「エンジェル・アイズ」で始まって5曲目までは全てバラード、というのも要因としてあると思う。
与世山さんは「和製ビリー・ホリデイ」といわれていたそうだが、ホリデイの歌唱で有名な「ザ・マン・アイ・ラブ」や「ドント・エクスプレイン」ではその面影が感じられる。歌の節回しが似ているんだな。ただ、「真似ている」という印象はない。ホリデイの節回しが与世山さんの体に染み込んでいるのか。
アップ・テンポの6曲目・7曲目ではスウィングしているがそれでも端正な表情は崩さない。面白いのは「ニューヨークの想い」。まさかビリー・ジョエルを歌っているとは思っていなかった。製作者の意図か、与世山さんが好きだったからか。このアルバムでは珍しくサックスのソロが入っていて、特別技術的に凄いとか、奇抜なフレーズを吹いているというわけではないけれど、情熱が感じられていい味を出している。
バックのミュージシャンは非常に落ち着いた演奏をしているので安心して聴ける。日本のジャズメンも捨てたものではないんだな。
他の2枚のアルバム(83年12月録音「ウィズ・マル」、85年9月録音「デュオ」)も何曲か聴いてみたが、「イントロデューシング」のような緊張感はなかった。もしかしたら、初めて沖縄から本土に来てデビュー盤を録音するということで、異常に緊張していたのかもしれない。それだからこそ、「イントロデューシング」は稀有な盤だと思う。
「イントロデューシング」を聴いた後に「インタリュード」を再聴してみたが、決して悪いアルバムではない。単に俺のイメージと違っていたというだけの話だろう。また23年という歳月の流れで声の衰えが多少感じられるかもしれないが、与世山さんの経営する沖縄のジャズ・クラブでの録音ということで、小さな箱で演奏している雰囲気が味わえるし、バックのミュージシャンの演奏もとても落ち着ける。菊地成孔さんのサックス・ソロ(3曲のみ)も抜群。流して聴くには最適だな。
したがって、落ち着いた雰囲気を味わいたければ「インタリュード」、与世山さんによるジャズ・スタンダードの歌唱にどっぷりと浸かるには「イントロデューシング」、という楽しみ方ができる。
どちらも捨てがたい魅力があるのだが、個人的にどちらを取るかと言われれば「イントロデューシング」だ。これ、稀有な名盤です、piouhgdさん。

レンタル屋に赴いたところ幸いにも4枚とも在庫があったので早速全部借りてきて聴いてみた。ただし主に聴いたのはデビュー盤の「イントロデューシング」と最新盤の「インタリュード」なのでご了承のほどを。
まず最初に聴いたのが05年録音の「インタリュード」。聴いた瞬間、「アレ?」と思った。想像していたイメージとは違っていたのだ。ニーナ・シモン、ジミー・スコットとは全く違う。両者は「ダメ声」だが、この人はとても歌がうまい。声も綺麗だ。越路吹雪にある妖艶な魔力ともまた違う。そのせいか、肩すかしを食らったようで引き込まれなかった。
2曲目が終わらないうちにCDを変えた。デビュー盤の「イントロデューシング」(83年3月録音)。これは凄い。メンバー全員が「一音たりともおろそかにしてたまるものか」という緊張感がビシビシと伝わってくる。この盤での与世山さんの歌は周囲の人間を黙らせる力がある。カクテルを傾けながらおしゃれなジャズを…という雰囲気ではない。鬼気迫るものがあるのだ。これは暗めのメロディで哀愁感たっぷりの「エンジェル・アイズ」で始まって5曲目までは全てバラード、というのも要因としてあると思う。
与世山さんは「和製ビリー・ホリデイ」といわれていたそうだが、ホリデイの歌唱で有名な「ザ・マン・アイ・ラブ」や「ドント・エクスプレイン」ではその面影が感じられる。歌の節回しが似ているんだな。ただ、「真似ている」という印象はない。ホリデイの節回しが与世山さんの体に染み込んでいるのか。
アップ・テンポの6曲目・7曲目ではスウィングしているがそれでも端正な表情は崩さない。面白いのは「ニューヨークの想い」。まさかビリー・ジョエルを歌っているとは思っていなかった。製作者の意図か、与世山さんが好きだったからか。このアルバムでは珍しくサックスのソロが入っていて、特別技術的に凄いとか、奇抜なフレーズを吹いているというわけではないけれど、情熱が感じられていい味を出している。
バックのミュージシャンは非常に落ち着いた演奏をしているので安心して聴ける。日本のジャズメンも捨てたものではないんだな。
他の2枚のアルバム(83年12月録音「ウィズ・マル」、85年9月録音「デュオ」)も何曲か聴いてみたが、「イントロデューシング」のような緊張感はなかった。もしかしたら、初めて沖縄から本土に来てデビュー盤を録音するということで、異常に緊張していたのかもしれない。それだからこそ、「イントロデューシング」は稀有な盤だと思う。
「イントロデューシング」を聴いた後に「インタリュード」を再聴してみたが、決して悪いアルバムではない。単に俺のイメージと違っていたというだけの話だろう。また23年という歳月の流れで声の衰えが多少感じられるかもしれないが、与世山さんの経営する沖縄のジャズ・クラブでの録音ということで、小さな箱で演奏している雰囲気が味わえるし、バックのミュージシャンの演奏もとても落ち着ける。菊地成孔さんのサックス・ソロ(3曲のみ)も抜群。流して聴くには最適だな。
したがって、落ち着いた雰囲気を味わいたければ「インタリュード」、与世山さんによるジャズ・スタンダードの歌唱にどっぷりと浸かるには「イントロデューシング」、という楽しみ方ができる。
どちらも捨てがたい魅力があるのだが、個人的にどちらを取るかと言われれば「イントロデューシング」だ。これ、稀有な名盤です、piouhgdさん。
トラックバック&記事の紹介、ありがとうございます!
rollinsさんは、なんとなく"Intorducing"の方がお好きなのではないかなと思ってました。
俺のところのコメント欄でも少し触れましたが、ジャズを、特にヴォーカルものを聴き込んでいる方には、"Introducing"がすんなりと入ってくるんじゃないでしょうか。
逆に"Interlude"は、非ジャズファンにも受けが良さそうな気がします。
ちょっとオルタネイティブな雰囲気ありますしね。
俺の場合、ヴォーカルものはまだあまり手を出してない上、純粋なジャズファンではないので、どちらも等しく楽しめて得だな、なんて考えております。(笑)
>製作者の意図か、与世山さんが好きだったからか
ライナーに書いてあるのですが、"Introducing"では与世山さんのお好きな曲を選んだそうですよ。
>稀有な名盤です
これ、まったく異存なし、です。
気に入ってくださって嬉しい限り。
piouhgd URL 2006/03/20//Mon. 01:42 [編集]
piouhgdさんへ
>rollinsさんは、なんとなく"Intorducing"の方が
>お好きなのではないかなと思ってました。
やっぱり、選曲が私好みだったというのが大きな要因だと思います。
特に「エンジェル・アイズ」という曲は大好きなんです。
>ジャズを、特にヴォーカルものを聴き込んでいる方には、
>"Introducing"がすんなりと入ってくるんじゃないでしょうか。
そうですね。入りやすいと思います。
>どちらも等しく楽しめて得だな、なんて考えております。(笑)
いいなぁ、得で(笑) でも、「インタリュード」も好きですよ。
逆に「インタリュード」の方が、(私にとって)最初の食いつきが悪い分、
長く楽しめるかもしれません。
>ライナーに書いてあるのですが、
あ、ライナーほとんど読んでませんでした(笑)
与世山さんが悩みながら選んだというのがちゃんと書いてありましたね。
>気に入ってくださって嬉しい限り。
いや、こちらこそ、いい盤を紹介してもらって嬉しいです。
ありがとうございました(^o^)丿
rollins1581 URL 2006/03/20//Mon. 02:15 [編集]
こんばんは!最近の私はブラジル音楽道まっしぐらです(笑)。
こんな日本人いるんですね。数年前に聴いたのはジャズを歌う守山良子。がっくりきてしまいました。ジャズのヴォーカルものは好きなので、rollinsさんの記事を読んで与世山さんは気になりました。
DJナオミ URL 2006/03/21//Tue. 00:51 [編集]
DJナオミさんへ
ジャズを歌う森山良子というのはちょっと想像できないですね。
ジャズのヴォーカルものといっても人には好みがあるので一概には言えませんが、与世山さんはジャズボーカルが好きなら楽しめると思います。
rollins1581 URL 2006/03/21//Tue. 19:07 [編集]
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